コング
「フッフーン」
コングは自らの筋肉を見せびらかすように次々とポーズを決めていく。
「…あんた、何がしたい訳?」
クレアはたまらずコングに問い掛けた。
コングは心外そうな表情で、
「見れば分かるだろう。このコング様の筋肉美を観客に見せているのだ」
またポーズを取り出した。
クレアはカクンッ、と膝を落とした。
「…あ、そう…」
もはや声にも力が入らない。
これほど強い相手と一対一で戦ったことは無いが、これほど脱力感が伴う相手と戦ったことも無い。
クレアがうな垂れていることに気づいたコングは、
「それに、そう遠くない未来の妻に、眼前でこの『美』を焼き付けて貰いたいしな」
大真面目な表情で、一人うんうん、と頷いていた。
ゾワゾワゾワゾワッ!
「冗談っじゃないわよっ!」
再度、コングに突っ込むクレア。それに対し、
「やれやれ、しゃあねえ。未来の嫁さんを傷つけたくはねえが」
溜息をつきながらコングは先程のように、拳で地面を抉るよう叩きつけた。
「何度も同じ手が通じる訳ないでしょっ!」
ヒステリック気味に喚くクレア。同時に、ショートソードの柄に埋め込まれたマジックストーンが青く輝き出す。
クレアの目の前に物質化された氷が出現。無数の氷塊と、飛来する石版の破片が勢いよく衝突する。更に、一部の氷塊がコングを襲った。