ゾワゾワ
「クソッ!」
予想していなかったクレアの反撃に、コングの反応が一瞬遅れた。それでも高速で迫ってくる大小の氷の塊を素手で次々と打ち落としていく。
(これでラストだっ!)
最後の氷塊に一つを叩き落すコング。だが、
「もらったわっ!」
クレアはコングが氷塊を叩き落していた間に接近していたのだ。
そして、
「消えた?!」
正確には違うのだが、コングには消えたとしか言いようがなかった。
クレアは姿勢を低くしながら、トップスピードでコングの股を滑り込むように潜り抜けたのだ。巨体のコングには、クレアが自分の目の前で消えたような錯覚に陥っていた。
コングが混乱している間に、クレアは背後からコングの首を両腕で締め上げた。
「白目向いてぶっ倒れなさいっ!」
満身の力を込めて首を締め上げるクレアに対し、
「ウエッヘッヘッへ」
コングは不気味な笑い声を発していた。まだ余裕があるのか、それとも演技なのか。
「随分余裕じゃない、ハゲゴリラ」
コングの様子を探る為に、背後で首を締め上げながらコングの耳元で囁くクレア。
だがコングはきざったらしく、チッチッチ、と人差し指を振った。
「いかんなぁ。亭主に向かってハゲだなんて。これはスキンヘッドだぜ」
首を締め上げられているにもかかわらず、コングはぺらぺら喋り捲っている。