チャンプ
きっぱりと断言するコング。
そんな約束などしていないクレアだが、この男は何を勘違いしているのか、クレアがあの滅茶苦茶な約束を受けた、と思い込んでいるようだ。
最早、コングの頭の中には、クレアとの結婚式の段取りから、新婚初夜の過ごし方まで鮮明に描かれている。
「じょ、冗談じゃ…」
「何をしている、クレア?」
そこに、次の試合をする為にリングに上がろうとしていたレイが歩み寄ってきた。
「ん?なんだ、お前は?」
コングは不機嫌そうにレイに問い掛ける。
(これはチャンスだっ!)
この場を切り抜けるにはこの毒舌冷血漢を利用するしかない。後が怖いが、コングの嫁になるよりは何百倍もましだ。
クレアはレイの背後に回り、
「こ、この人はあたしのフィアンセ婚約者よっ!」
やけくそ気味に、裏返った声で喚くクレア。
レイは、
「…………………………………………………………………………………………………」
たっぷり、十秒間思考を停止させた。