55
クレアの言葉の意味をどうにか、、、、強制的に、自身の脳に理解させたレイは、
「…よく言うな…そんなデマを言わせるのはこの口か?」
殺気すら含まれているのでは、と思われる口調で、文字通りクレアに切り返す。
「な、なんでそんなことを言うの、ダーリン」
レイの迫力にびびりながらも何とか言葉を紡ぎ出す。
それもそうだろう。
レイは確かに恐ろしいが、それ以上にコングの花嫁になる、ということは、恐怖と嫌悪、更には絶望感にさいな苛まされる。
そして、ここにも怒気を発する者が一人。
「テメェ、人の嫁に何ちょっかいだしてんだ…」
コングの問い掛けを、
「ダーリン?やはり貴様のような二枚舌の金の亡者はこの場で切り捨てた方がいいな」
レイは完全に無視。
これが止めだった。
コングはレイに向かって拳を振り上げた。
「!」
ゴォォォン
レイは紙一重でコングの拳撃をかわした。今の拳圧によって、レイの漆黒の頭髪が僅かに刈り取られた。
抉れた地面から拳を引き抜きながらコングは呟いた。
「この場で決めようぜ。どっちがあの女に相応しいか」
レイにはコングの呟きの意味がよくわからなかったが、
「…いいだろう…」
そう言わせたのは、ここにいる馬鹿な連れの為ではない。
コングの有無を言わさぬ雰囲気だった。