シン
「……クッ……ハァ、ハァ……」
シンは民家の屋根を渡って逃走していた。すぐ後ろからは五人の追手が迫ってきていた。
シンは軽やかに跳躍し、三階建ての宿の屋根に飛び移る。
だが、その前方には二手に分かれていたもう一方の追手が進路をふさ塞いでいた。
シンは走るのを止めた。後ろから迫ってくる追手がシンに追いついた。
後ろからシンを追ってきた一人が前に進み出る。
「…貴様が『双刃の死神』のパートナーとはな」
『双刃の死神』
レイの異名の一つだ。
「…あなた達の目的は?」
シンは落ち着いた様子で、自身を取り囲む連中に尋ねた。
「悪魔に魂を売り渡した者共の始末だ」
冷徹に答える追跡者。
「…何かの間違いじゃないのかな?」
しかし、相手はシンの問い掛けには答えない。
「数多の村を焼き、女、子供といえど区別なく殺す悪魔共がっ!」
フォーメーションを展開しつつ、シンを囲む間隔が少しずつ狭めてきている。
(…話し合いでの解決は無理か…)
右手に装着している物質粒子化装置に目を落とす。
(何とかしてみせる…逃げ切ってみせるっ!)
物質粒子化装置からある物を取り出す。
「!いかんっ、爆弾だっ!散開しろっ!」
辺りに激しい爆音と、まばゆ眩い閃光が放たれた。