エンデバー
「…あいつ、ほんっとう本っ当に強いわね…」
クレアは驚きと呆れのニュアンスを半々づつ含んで呟いた。
レイは試合開始直後、凄まじいスピードで一瞬の内に相手選手の背後をとった。
相手も反応よく、背後に回ったレイに裏拳を放ったのだが、レイはその裏拳を右手で受け止め、逆に素早くねじ上げた。そして、そのまま関節を決め、足払いをかけて相手を地に倒した。
この時点で、相手はこれまでと悟ったのか、ギブアップを宣言した。
わずか九秒間の出来事だった。
(あいつがいる限り優勝は難しいわね)
これは難題だった。
クレアは悪知恵を働かせる為、休憩室にある椅子にどっかりと座って思考に耽っていた。が、
(どうすりゃいいのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!)
二人の実力差を埋める妙案が簡単に浮ぶはずもない。
(昼飯に下剤とか、睡眠薬を入れてもばれそうだし…)
なにより、試合後に何をされるかわかったものではない。
頭を両手で抱えて、うぅぅぅ〜、と唸っていると、
「またよからぬことを考えているな」
いつからいたのか、レイがクレアの目の前に立っていた。