航海77
レイが二人の待つ部屋に戻ってきたのは三時間後のことだった。
「…二人共寝たのか?」
独白だったのだが返事があった。
「…あたしは起きてるわ」
レイは一息つき、
「…食料を見つけた。ただ量が結構あって物質粒子化装置に収まりきれん…手伝ってくれ…」
それだけ言うと踵を返して部屋とは反対方向に歩き出した。クレアも起き上がり、レイの後に続く。
しばらくして、歩きながらクレアは口を開いた。
「…あんたに一つ質問があるわ…」
「…何だ…」
「…なぜシンは狙われてるの…」
辺りを沈黙が包む。
「…俺が知っている範囲での話になるが…いいか?」
クレアは頷いた。
「…半年程前、『クロノス』側か『レジスタンス』側かは不明だが、一体の生体兵器が脱走したそうだ…」
『生体兵器』
人間を改造することで尋常ではない戦闘力を与えられた存在。
代表的なものは『クロノス』で製造された『サイボーグ』がある。
「でも『レジスタンス』には『生体兵器』を作れるほどの技術力は無かったはずよ」
クレアの問いにレイは頷きながら、
「…確かにそうだが、『クロノス』からの脱走者達の協力で、最近技術力があがった、という情報がある…それが本当なら『レジスタンス』にも『生体兵器』の製造は可能だ…