航海2

白き悪夢

白き悪夢

レイはクレアの方は振り返らずに、そのまま直進し、いつもと同じ単調な口調で話す。

「…まあ、それはいいとして、本題に入って欲しいわね」

「…焦るな…そいつは驚異的な戦闘力を有していた為、実験段階からいくつかの村を立った一体で壊滅させていたそうだ…その虐殺から幸運にも逃れられた人々は奴を『白き悪夢』と呼んだ…」

…『白き悪夢』…

「!?」

クレアの表情が一変する。

「…話は最後まで聞け…『白き悪夢』が脱走した時、そいつの顔を知っていた者は組織内ですらほとんどいなかったようだ…開発者も技術の流出を避ける為に組織内で殺された、と見るのが妥当だが…とにかく、奴に関する情報は襲われた人々から口伝えで広まった…『奴は白髪の少年だった』、と…」

クレアは自分の喉がゴクリ鳴ったのを聞いた。

「…ひょ、ひょっとして…」

そこまで言いかけて、レイがクレアの言葉を遮った。

「…何回も言わせるな…話は最後まで聞け…シンは口伝えで広まったその噂の犠牲者だ…」

クレアは訳がわからなくなってきた。

「…『白髪の少年』など、この広い大陸を探せば数十人、数百人はいる…だが、人々は恐怖で我を見失い、『白髪狩り』を行った…馬鹿な話しだ…本物なら例え何百何十という猛者を集めたところで返り討ちにあうということ位、容易に想像できるのにな…」