生体兵器
「…でも、シンが『生体兵器』じゃない、っていう明確な証拠があれば、そんな危険をおかす必要も無いのに…」
「…あることにはある…奴は白髪だったそうだが、目が深紅の瞳だった、と言う証言もある…最もこんなことを言ったところで、周りの奴等は聞く耳持たなかったが…それに…」
「それに?」
「…あいつが人を殺せる…いや、傷つけることができると思うか?」
クレアはシンのホエホエ顔を思い出した。とてもではないがそんなことは出来そうにも無い。クレアは思わず苦笑いをもらした。
「…さて、じゃあ食料を運び出そう…」
「待って。もう一つ聞かせて」
再び歩き始めたレイは止まらずに、
「…なんだ、手短にな…」
素っ気なく言う。
「…どうして、そこまでしてシンを守るの?」
まるで、クレアのおさななじみ幼馴染、今は亡きロイのように…
レイは歩みを止め、クレアの方を振り返った。
「…俺にとってシンはかけがえのない『友』だからだ…命を賭してでも守るに値する、な…」
クレアの碧眼を真っ直ぐに見つめる。
「…この答えでは不足か?」
クレアは首を横に振った。
「…いいえ。でもあたしの周りってやっぱ馬鹿ばっかね」
何かが吹っ切れたようなクレアの表情だ。
「…貴様も含めてな、クレア…」
「何か言った、レイ?」
「…聞こえなかった事にしておけ…」
遺跡の通路に笑い声が響いた。